むかし書いた詩です。
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ある種美しさというのは
いくつかの噛み合わさった普遍の循環から生じるものだ
例えば
真夏の瓶サイダーの水滴や
なんでもない夕焼けの
なんでもない週末の
なんでもない少女の
なんでもない横顔のような
太陽は東から昇るし
瓶のガラスは安っぽいし
お湯が沸けばやかんがなるし
傘を忘れたら肩まで濡れて
プールの近くでは塩素のにおいと
街路樹のつくる影の形や
サンダルの鼻緒や錆びた十円玉や
蝉の声なんてのも
なんでもなくなんでもない
そんな自明が美しい不確かさを精製していたりする
なのでせめて
私だけのありきたりなプラトニックくらいは尊厳の中で使い切りたいのだ
私の中の
青春なんて呼ばれてた少女には
直線的な日差しを浴びて
ペダルを軋ませ坂を登って
見えた入道雲や
信号を揺らす陽炎や
たなびくぬるい風の中で
何に媚びることもなく
命を尽くして欲しいのだ