ああ、あの頃に戻りたいだなんて
言うつもりはなかったのにな
右曲がりの坂道を登り
見えてくるものが何もなかったとして
それでも散歩に付き合ってくれたかい?
もうすぐ定期が切れる
つま先だち吊り革
生き甲斐なんてねえ
揺れるスカート目で追ってたのも昔の話
生活って楔みたいね
そうかい、でも存外そんなもんかい
って笑うけど
切り売りしてる理由もわかんねえ
時々怖くなる
次に情けなくなる
そしたらあの日の俺が下ってくるのが見えてきて
羨ましくなった
何も無くても笑っていたね
悲しくても悲しくなかったね
ああ、あの頃に戻りたいだなんて
言うつもりはなかったのにな
明日の天気は?
散歩にでも誘ってくれたなら