2021年が終わろうとしている。
社会人3年目、もうすぐ4年目になる。どんどん加速していく。街のスピードに置いていかれる、なんてレトリックはよく見るが、案外いい勝負をしてしまうのではないか。
このブログも最近はめっきり更新しなくなってしまった。しないというか、自分の生活を振り返ってじっくり言語化する余裕がない、と言った方が正しい。自分の仕事で精一杯。でも、不幸せでは無い。むしろ、そんな余裕がないときにこそ生の実感がある。
最近の僕は仕事が一番楽しく感じている。
新卒で入ったこの会社も、なんとか辞めずに続けられている。塾講師の仕事は大変だが、自分に会っていると思う。
いわゆる選抜コースの授業を任せてもらっている。神奈川の公立トップ校は横浜翠嵐高校。偏差値72、公立高校では日比谷高校に次いで日本で2番目に東大合格者を輩出している。
ここに合格させなきゃ我々の存在意義は無い。先輩にはそう教えられてきた。初めはいまいち理解できなかった。
でもいまは、自分でもその通りだと思う。
それなりに頑張って仕事をしている。毎週生徒とは顔を合わせるわけだから、頑張ってくれている生徒には情が移ってしまう。自分の言葉に耳を傾けて、考えを写しとろうと必死になっている子を見ていると、言葉にできない気持ちになる。
中には、テストの結果が納得できず、悔しくて泣いてしまう子もいる。
ごめんな、と心の中で思う。でも言葉にはしない。自分の授業の価値=自分の存在価値を下げてしまうことになるから。
ここを自分で認めてしまうと、その子の努力と時間まで否定してしまうことになってしまう。
だから、ハリボテであっても強い言葉を使う。
俺が成績上げるから、一緒に頑張ろう。
なんとかしてあげなくちゃ、って思う。
そのために、やれることはできる限りやってあげたい。
中高生のころには、バンドマンに憧れてた。塾講師という仕事は、すこし似ている。
目の前の相手を勇気づけること。これが一番大事だ。教科書の中の内容は言うまでもなく重要だが、本当に大事なのはモチベーションだ。ましてや相手はまだ成長途中にいる人間だから、気持ちのあり方次第で良くも悪くも結果は大きく変わる。
だから、自分が心を動かされた言葉で、同じように心を動かすことができればいいと思う。
音楽の才能は持って生まれることは出来なかったけど、ステージに立って音を操ることは出来なかったけれど、やりたかったことに近いことは出来ている。全く違うと思っていたことも、実はどこかに共有することがある。僕たちの耳には捉えられない周波数で、通奏低音は今日も響いている。
正直、自分だけのために使う時間はとても減った。年次を重ねれば授業準備、予習の時間ほ減るかと思っていた。しかし、実際は減る気配はない。むしろ増えているかもしれない。
休日は10時過ぎに起きて、洗濯と掃除をする。13時半ころには大体のことが片付く。外出の準備をする。遠出するわけじゃないので、パーカーで十分だ。駅ビル(そう言っても大した規模ではない)に入っている図書館に籠るだけだ。その前に近所のラーメン屋に寄り、太麺普通とネギチャーシュー丼を頼む。食べ終わったらスーパーに寄ってモンスターの緑を買い、3階の図書館で自習する席を探す。この時点で、大体2時半ころになっている。準備が整ったら、ひたすら問題を解きすすめる。一気に4〜5時間かけて問題を解き、関係する論説テーマをまとめ、調べ物をし、授業の構想を練り上げる。週休日はだいたいそのようにして夜を迎える。スーパーで晩御飯の食材を買い、自炊する。
いまは入試も50日無いくらいの直前期だから、休みを取る暇もない。
ふと思い返すと、就職するタイミングで上京してから、丸一日遊んだ日というのは数えるくらいしかない。泊まりがけの旅行にも問題集を持っていって連れに引かれたくらいだ。
こんな生き方、間違っているのか?
たまに自問自答する。
いいや、決してそんなことはない。
そんなこと、言わせない。意味を失ってしまうのは、自分の生徒の成績が上がらないときだけだ。
自分の授業を受けているときには、時間の無駄だなんて思わせやしない。自分の伝えられる言葉を増やす。これを続けていくしか手はない。
こんなことを思うとき、思い出すひとがいる。情景は、いつかの春のスカイツリー、グラス越しの青い情熱。
あの人なら何と言うだろうか。
きっと、すぐに自分のことを認めてくれる気がする。もうそう簡単には会えることはないと思うけれど、不思議な確信がある。
-
俺だって、
-
あの青もあの海も捨てられないの、
泥臭くてカッコ悪くても
逃げたくても戦いたいの
ここにいることも許されたいよ
こんなに弱くなったって、
私はずっと夢を見続けるんだから
-
見えている景色が違っても
見えていた景色を忘れていないのなら、
仲間であり同胞だよ
同志って言葉がいいかもね
同じ志だよ
一緒に戦っているよ
どんな形であれここまで頑張ってこれたのは間違いなく君の存在があったからだ。
そしてどこかで今日も君も頑張っていると思えるから、明日もぼくも頑張れる。
思想の根底には君からもらった沢山のことばがある。希望だけじゃなくても生きていけるのは、それでもいいと教えてくれたからだ。
いつかまた会えたら最大限の感謝を。
だけどまだ終わっちゃいない、やるべきことがまだあるんだから。年を越しても、いや、年を越してからがぼくの仕事の本番なのだから。
[