トワイライト

あのトワイライトが消えてから、一年が経とうとしています。

男の子は、南東の空を見るたびに、思い出します。

 


青い星大きな大きな星でした。

風船が弾けるように、ぽん、と消えてしまったのです。

不思議なもので、男の子以外はだれもその話をしません。

 


トワイライトが消えるよりももっと前、

男の子は、女の子に

きいたことがあります。

あの星って、なんて名前なの?

トワイライトだよ。

トワイライトってどんな意味なの?

男の子はいいました

薄明かりのことだよ。

たそがれとも

終末期とも言えるね。

 


続けました。

優しい星だよ

遠く遠くにあるからね

 


あの塔に登れば届く?

いいや、

なんだか想像もつかない果てしなく、

悲しくなってしまいました。

 


そんな思い出があったので、連想ゲームのように、あの女の子のことも思いだすのです。

それから、すこし悲しい気分になるのです

 

 

 

あの星はいまどうなっているの?

分からない

 


その夜、夢を見ました。

あのトワイライトのお姫様が、こっそりと秘密を教えてくれました。

 


うまく聞き取れませんでしたが、とても優しいことばだというのは、はっきりと伝わりました。

 


夢の中のトワイライトは、あの日見た、あのトワイライトと同じでした。