あつかっただけ

全て知っていた。悪意のない分、余計に居心地が悪かった。すっかり溶けてたはずのかき氷が、胃の中で再び凍りついた。 君の言葉はいつだって氷点下だ。 その人の話はよく聞いていた。考えごとをするときに決まって右親指の爪を眺める癖も、あなたが髪を撫で…

さよならのうた

言葉にならない感情が増えるたび わたしはどんどんめくらになる 次第に濁る東の雲の色彩と 羊の群れとセンドウする商人の横顔と 氷をかじって頭痛がするように 淋しさが誤った回路につながり 脳内で一瞬火花が散った さよなら、遠いところへ 「君がいない」…

なつのおもいで

むかし書いた詩です。 ーーーーーーーーーーーーーーーー ある種美しさというのは いくつかの噛み合わさった普遍の循環から生じるものだ 例えば 黄道と白道の交点で生じたエクリプスや 真夏の瓶サイダーの水滴や なんでもない夕焼けの なんでもない週末の な…