生活 (isn't it?)

夕暮れの街だ

ふたりで歩くとき

君が握るのはいつも右手だった

東から空は深く深く、黒く黒く

全ての色に名前は付けられない

それはとても悲しく思えてしまう

君は振り返り飛んでいく鳥を見た

遠くを見ていた

 

消去法、背理法でしか証明できない幸福が

ボロい雑居ビルの廊下みたいな明るさで

僕らの輪郭をなぞる

二段飛ばしを躊躇って終電逃すような

例えるならそんなもんさ

町は濾過していく

濾し出され押し出されちまった

なにも連れて行ってはくれない

誰の手も握らない

 

スキップ再生されたような日々に忙殺されても

音楽をかければ平穏さを錯覚できる

愛しさは毎日配信されて

それよりも少しだけはやい周期で

孤独も更新されていく

そんなアキレスと亀が僕らのようだ

 

出会うべき出会いがあるのなら

別れるべき別れもあるのだろうか

消えかけの焚き火みたいな思い出が

風に吹かれてぱちぱちと揺れる

一緒に帰ったはずのあいつの苗字も

うまく思い出せなくなったよ

 

さよならバイバイ

あの鳥がまだ身を寄せあい眠るうちに

さよならバイバイ

どうか元気で